初等学校の学習
発達を考慮したカリキュラム
数の概念

子どもの能力の発達には、いくつかの型があります。徐々にゆっくりとできるようになる型もあれば、ある時期に急にできるようになる型もあります。
「数の概念」はある時期に、急に進む型の代表です。何度教えても、何度練習しても理解できなかったことが、ある時を境に理解が進んでいくことがあります。物の数を数えたり、数と数字が一致したり、数の順序がわかったり、足し算の理解ができたりするようになるには、ある年齢や時期になるまで待つ必要があるのです。これが「数の概念が育った」ということです。
本校では、入学後の1年生に対して数に関する調査をした結果、数の概念が急に育つ時期はほぼ6歳半ば頃ということがわかってきました。それまではどんなに数の理解をさせようとしても、数の概念が育っていないため理解がしにくいのです。
1学期から算数を教科書通りに進めても、早生まれの子はなかなか理解できないことがあります。数の概念の発達が一人ひとりの生まれ月に関係している一例です。また、この数の概念の発達は、文章を読む力とも大きくかかわっていて、6歳半ば頃から急にすらすらと文章を読める子が増えてくることも分かってきました。
一人ひとりの発達に合わせた指導

清明学園では、1年生の算数は2学期から始めることにしています。1学期の間は、教科書やプリントを使った学習に重点をおかず、具体物による数あそびを多く取り入れ、さまざまな場面で数の意識を持つように指導しています。
数の概念が育っている子も、この時期は次の段階に進む準備期ととらえています。具体物でさまざまな数の体験をすることが、次の段階で大きく豊かに成長すると考えています。
2学期に入ってから、1年生の算数の学習が始まります。この時期にはすでに早生まれの子も数の概念が育っているので、授業の内容の理解はスムーズに進みます。教え込まずに、理解できるので、子どもたちは意欲的に学習に取り組みます。2学期から始まった算数も3学期までには1年生のカリキュラムは終わり、2年生の内容にまで入ることができます。
国語の学習でも、一人での音読を強制せず、声を出すことを楽しみ、本に親しむ習慣を育てています。
大切なのは、子どもの成長を一律に見ず、一人ひとりの発達の段階をよく見極めることです。できない時期には無理をさせず、できるようになるのを待って効率よく進めます。早生まれの子が、生まれ月で不利にならないよう、また月齢が早い子もその子に合った学習に適切に取り組ませて、一人ひとりの発達に合わせた指導を大切にしています。